2017年6月はがん対策推進基本計画が第3期の新たなスタートを切る節目の月でもあり、さらに、がん罹患状況や社会・福祉など環境の変化、高齢化によるがん多死時代の到来、非がん疾患に果たす役割、社会への啓発活動と現実とのギャップ、何よりも患者さんやご家族のつらさを本当に私たちはキャッチし対処できているのかといった課題や疑問を日々感じています。
そうしたことを受け2017年の学術大会は、私たちを取り巻く様々な関係性を軸に、多様化した社会や人との葛藤を乗り越えていく対話の場として位置づけていきたいと思っています。
メインテーマ | 「集い対話する」 |
サブテーマ | 「~疾病と共に健やかさを生きるために」 「~社会の中で活きる医療となるために」 |
双方向性を加味した症例検討ワークショップ、北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国四国、九州沖縄に分けた地域別シンポジウム、他学会との合同シンポジウム、これからのがん対策や子ども達へのサポートに関するシンポジウムや一部公募を取り入れた口説、ポスターセッションとともに、日頃の研究・診療・教育の成果を発表し、緩和医療・ケアに関する情報交換や発信する場として企画しています。
特別講演の一例として、大会長企画ではユマニチュードで効果的なケアを提唱しているイブ・ジネスト先生と本田美和子先生にご内諾を頂いており、教育講演を含め、新たな知識と技術を得て、明日の臨床に活かせることを目指します。
さらに、ランチョンセミナー、スィーツセミナー、スポンサードシンポジウムなど一味違う企画や対話を深める場としてケア・カフェ、交流セッションを準備し、また、患者さん団体の方にご協力頂き、患者-医療者間の距離を近くするための患者アドボケイト・ラウンジにもチャレンジしたいと思っています。
EBM・NBMを基盤としつつ実存的苦悩を含めた学際的セッションにより、緩和ケアを支えてくださる皆様がプロフェッショナリズムを磨き、リフレッシュし、次の大会までの1年間、健康や福祉に寄与し続けていけるよう「対話の場」を、「もてなしの場」として鋭意準備に取り組んでいます。
この学術大会が緩和ケアを必要としているすべての方に届けられていくことを祈りつつ、皆様と2017年6月横浜でお目にかかれる日を心から楽しみにしています。
大会長 有賀悦子
帝京大学医学部緩和医療学講座 教授・診療科長
Professor
Dept. of Palliative medicine,
Teikyo Univ. School of Medicine
- ポスターの花は集う場を、昆虫は集う人々を表しています。
- 社会と緩和医療とのもどかしい関係を想起しつつ、大会の音楽は伝えたいのに伝えられない恋心を歌ったオペレッタ メリー・ウィドウから「唇は語らずとも」です。